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【野村アセットマネジメント】「野村グローバル・ロング・ショート」の仕組みを解説

 先進主要国の株価指数先物や債券先物、為替予約の取引を駆使した運用で、相場環境に関わらず長期的かつ安定的な収益を目指すという野村アセットマネジメントの「野村グローバル・ロング・ショート」。ネット証券4社による資産倍増プロジェクトの専用ファンド第2弾のうちの1本として、2011年11月に設定された。

 同ファンドの2017年1月~11月末までの11カ月間の運用状況と、個人投資家にはまだまだ馴染みのないこのファンドの仕組みやメリット、ポートフォリオへの取り入れ方などについて、井上裕士・野村アセットマネジメント金融法人営業部シニア・マネージャーに話を聞いた。

■直近11カ月では、株・債券・為替の資産クラスがすべてプラスに
 最初に、2017年1月から11月末までのファンドの値動きを、株式、債券、為替の3つの資産ポジションごとに振り返ってもらった。

 「運用状況を一言でまとめると、狭いレンジではありましたが株式・債券・為替のいずれもプラスという結果になりました。3つともプラスという意味では、弱いながらもこのファンドの運用手法が機能したと言えます」(井上シニア・マネージャー、以下カギカッコ同)。

 数字としては、11カ月間では+2.8%のリターン(マザーファンドベースでは+4.4%)、上期・下期に分けると上期が+1.3%、また下期は7~11月末までの5カ月間となるが+1.5%だった。

「資産ごとでは、マザーファンドベースのコスト控除前の数字になりますが、上期は株が+0.5%、債券が+0.5%、為替が+1.0でした。株に関しては、買い建てした香港株の値動きが強く、上期だけでなく下期についても収益に寄与しました。

 また、2017年は株と債券の両方が上昇した相場で、債券についても買い建てていた米国債の上昇で+0.6%のリターンが得られました。逆に、売り建てていた英国債はマイナスになりましたが、より大きなポジションを取っていた米国債のプラスによってトータルでプラスになったという状況です」

 一方、+1.0%と3つの資産クラスの中で最も利益が得られた為替については、「ファンドが投資判断に使う定量モデルのいくつかのファクターで『ユーロは割安』と出ていて、上期はユーロのポジションを大きく取ったことがプラスにつながりました」と語る。

 下期は、株が+1.0%、為替が+1.3%と上期よりプラスの幅が大きくなったものの、債券は-0.2%と若干のマイナスになった。「すでに申し上げたとおり、株は香港株が下期も引き続き好調で、さらに、買い建てていたものの『出遅れ』状態だった日本株が、下期になって上昇しました。債券のマイナスは、弱気と判断して売り建てていたドイツ債が上昇した影響が大きかったですね。為替は、11カ月間を通して基本的には円安で推移したため、買い建てていた通貨はプラスに、売り建てていた通貨はマイナス気味になりました。上期に続いて、下期もユーロが強かったですね」。

●運用実績の推移
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 11カ月間の収益はプラスとはなったが、数字的には厳しいものだという井上シニア・マネージャー。その要因を次のように説明する。

「このファンドは、割安なものを買い、割高なものを売るという仕組みで運用していますが、2017年は割安・割高の指標から見て、それほど大きくポジションを取れるものがなかったということです。例外は、先ほど挙げた為替のユーロで、指標的に割安だったユーロではかなり大きくポジションを取り、利益を得ることができました」

 また、市場のボラティリティ(価格変動の激しさ)の低さも要因の一つとのこと。「グローバルの株式指標である『MSCIコクサイ』を見ても、2017年は下落局面がほとんどなく右肩上がりで推移しました。ボラティリティが小さいと、投資判断が正しい場合でもこのファンドではリターンの幅を取ることが難しくなります」。さらに、投資家の心理状態を表すと言われるVIX指数を見ても、2017年は非常に低い数字で推移しており、市場もあまりリスクを意識しておらず逆張り戦略が効きにくい、長期的に見てもかなりレアな相場だったという。

 なお、2017年11月30日時点の基準価額は1万1053円(分配金控除後)で、設定時からのリターンは+11.1%。ベンチマークである日本円1カ月LIBORの+0.4%を、10.7ポイント上回っている。また、年1回の決算ごとに10円(1万口あたり、課税前)、累計では60円の分配金が支払われている。

■定量モデルの判断に基づき、ミスプライスからの水準訂正を狙う
  ここからは、改めて野村グローバル・ロング・ショートの概要と運用の仕組み、特徴を見ていきたい。冒頭で紹介したように、このファンドは、先進主要国の株価指数先物や債券先物、為替予約の取引を活用した運用が特徴となっている。

 「具体的には、主要先進国の株価指数先物12銘柄と、米国国債10年先物などの債券6銘柄、米ドルやユーロなどの為替予約9銘柄の合計27銘柄を取引対象としています。現物の株や債券への投資は一切行ないません。その理由は、先物のほうが機動性と流動性が高いからです」

●投資対象の一覧
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  これらの投資対象を運用していくわけだが、その運用手法を一言で言うと、ミスプライスからの水準訂正を狙うものだという。「本来あるべき価格と比べて割安、つまり売られ過ぎている資産を買って(ロング・ポジション)、逆に買われ過ぎて割高になっている資産を売って(ショート・ポジション)、それぞれが元の値段に戻る過程での差益を狙います」。

 となると、「割安」や「割高」の判断が非常に重要になるが、投資判断は、長年の実績を持つ米国の運用会社ファースト・クオドラント社(FQ社)が開発した「定量モデル」を用いたファンダメンタル分析によってシステマティックに行なっている。

「定量モデルでは、まず予想ボラティリティや長短金利差、投資家のリスク回避姿勢など、数多くのファンダメンタル指標から各投資対象の『魅力度』(割安度合を評価するスコア)の平均値を算出します。そして、投資対象の現状の『魅力度』と照らし合わせて、長期的な観点で割安なのか割高なのかを判断。魅力度が高ければその資産を買い建て、逆に低ければ売り建てていきます。

 また、魅力度の高い資産ほどより多くのポジションを取る一方で、魅力度が平均並みの資産に対してはあまりポジションを作らないといったように、株・債券・為替という3つの資産クラス間の組み入れ比率も魅力度に応じて調整し、メリハリのある運用を行なっています」

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