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【生活設計塾クルー】ファイナンシャルプランナー 深田晶恵さんに聞く

■積立投資の支援制度が整って、変わりつつある個人の意識

 2017年に「iDeCo(個人型確定拠出年金)」の対象が大幅に拡大し、2018年から「つみたてNISA(積立専用の少額投資非課税制度)」もスタートしました。積立投資を支援する制度が整ってきたことで、個人の意識は、大きく変わったとまでは言えませんが、少しずつ変わりつつあると感じています。

 振り返ると、「iDeCo」の対象拡大や「つみたてNISA」の前には、2014年の「NISA(少額投資非課税制度)」の導入もありました。ただ、現行「NISA」は120万円まで(2014~15年は年間100万円まで)と年間の非課税投資枠が大きく、もちろん「NISA」を積立投資に使っても構いませんし、年間の非課税枠を全部使い切る必要もありませんが、「お金を持っている人向けの制度」と感じた人も多かったようです。

 また、現行の「NISA」は非課税期間が原則5年、繰り越しても10年間と短いことも、「終わった後はどうするのか」という不安につながったのかもしれません。さらに、2012年12月からのアベノミクスで、「NISA」がスタートした2014年当時は株価が大きく上昇しているタイミングでした。「今から100万円も投資して下がったらどうしよう」と、二の足を踏む人も少なくはなかったと思います。

 一方、2017年の制度拡充でほとんどの人が利用できるようになった「iDeCo」は、積立での利用が基本です(2018年からは年単位での掛金拠出も可能になりました)。しかも、掛金が全額所得控除という“皆さんの好きな”入口での節税メリットもあります。「iDeCo(イデコ)」というニックネームが付いて、あちこちで目に触れる機会も多くなったことから、この1年間で「iDeCoで積立をやってみたい」という人は大きく増えたと思います。余談ですが、やっぱりニックネームを付けて浸透させるというのは大切ですね(笑)。

●直近1年の「iDeCo」の加入者数の変化

出典:iDeCo公式サイト

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2017年の1年間で「iDeCo」の加入者が大幅に増加したことがわかる。なお、「つみたてNISA」の口座開設者数のデータはまだ公表されていない(4月18日現在)。

 そして、今年1月から始まった「つみたてNISA」。現行「NISA」の「積立版」です。年間の投資限度額は40万円と「NISA」に比べて3分の1ですが、非課税投資期間は20年と現行NISAより長くなっています。また、NISAと同様に投資で得た利益には税金がかかりません。投資金額の上限は月にならすと約3万3333円ですが、逆に金額が少ないからこそ「これくらいなら始められそう」と思う人が増えているのではないでしょうか。

■若年層と40~50代、世代によっても投資に対する意識は異なる

 現役世代に限って話をすると、20~30代の若年層と40~50代でもそもそも投資に対する意識にはかなり差があると思います。

 20~30代の方々の場合は、上の世代に比べると「投資」や「資産運用」という言葉に馴染みがあります。投資を「社会人になったら、いつかはたしなむもの」ととらえている人が多い。また、今の若い世代は年金制度への不安があって、「将来のお金を自分で貯めないといけない」という危機感が強い人も多いと思います。

 一方の40~50代は、子供の教育費や住宅ローンなど出費が非常にかさむ世代で、かつフルで共働きしている世帯はまだ少ないため、なかなか投資にまで回すお金がないというのが現実です。また、20~30代と比べてこれまで投資自体に馴染みがないままに来てしまったので、気持ちの面でも投資に付いていけていない人が多いのです。

 ただ、「iDeCo」と「つみたてNISA」という節税メリットが高く、少額から投資ができる積立制度が出揃ったことで、どちらの世代にとってもこれまでよりは投資のハードルが下がったということは確実に言えるでしょう。

■ライフイベントにかかるお金は、投資には回さないこと

 ここからは、実際に「iDeCo」や「つみたてNISA」を使って資産形成をしていこうというときに注意して欲しい点をいくつか説明したいと思います。最も大事なことは、大きなライフイベントのお金まで積立投資に回さないということです。

 20代前半の社会に出たばかりの方はなかなか気づきにくいのですが、20~40代にかけてはライフイベントが目白押しです。引っ越し、転職、結婚資金、住宅購入費用、さらには子供の教育費まで、内容は人によって異なりますがさまざまなライフイベントがあり、それぞれ資金の準備が必要になります。これらのお金は、「iDeCo」や「つみたてNISA」のための資金とは分けて貯めるようにしてください。

 なぜなら、「iDeCo」は拠出したお金を60歳まで引き出すことができないからです。また、「つみたてNISA」はいつでも資金を引き出せますが、短期で売却しては積立の意味がありませんし、売却するときに都合よく増えている保証もありません。

 そこで、ライフイベントに備えるお金は、積立投資の資金とは別に貯めて、勤務する会社に財形制度があれば財形、そうでなければ銀行の積立定期などで分別管理することをおすすめします。

 また、今まさに住宅ローンや子供の教育費などライフイベントにかかるお金の捻出が大変で、「iDeCo」や「つみたてNISA」にまでお金が回らないという方は、積立投資の前にまず支出の見直しから始めましょう。見直すポイントはいくつもありますが、たとえば通信費。大手キャリアのスマートフォンから格安スマホに乗り換えたり、料金プランを見直すだけでも効果が見込めます。

◎詳しくはこちら