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【三井住友トラスト・アセットマネジメント】「SMTアジア新興国株式インデックス・オープン」低コストで分散投資できるのが魅力

 ネット証券4社による資産倍増プロジェクト専用ファンドのうち、唯一のインデックスファンドとして2011年11月に誕生した「三井住友トラスト・アセットマネジメントの「SMTアジア新興国株式インデックス・オープン」。現在は、同社の「SMTインデックスシリーズ」の中の1本となっている。

 同ファンドの直近11カ月の運用状況とアジア新興国の今後の見通しについて、古賀幸治郎・三井住友トラスト・アセットマネジメント総合運用部株式運用グループシニアファンドマネジャーに聞いた。

■中国景気の好調などを受け、11カ月間で+22.7%の上昇を実現

 「SMTアジア新興国株式インデックス・オープン」は、アジアの高成長を分散投資によって安定的に取っていこうというインデックスファンドだ。具体的には、アジア新興国の株価指数である「MSCIエマージング・マーケット・アジア・インデックス(円換算ベース)」に連動する投資成果を目指す。

 まずは、2017年3月末から2018年2月末までの11カ月間のファンドの値動きを、各国の状況などと共に振り返ってもらった。「この11カ月は、大きな調整もなく右肩上がりで推移しました。直近の2月こそ一時的な下落がありましたが、これはアジア新興国に固有の原因があったわけではなく、金利上昇懸念で米国が下げた影響を受けたものです。ファンドの基準価額は、11カ月で22.7%の上昇となりました」(古賀シニアファンドマネジャー、以下カギカッコ同)。

 株価上昇の背景には、中国景気が安定していたこと、とりわけ情報技術関連銘柄の好調があるという。「具体的な銘柄を挙げると、中国でEコマースを展開するアリババやソーシャルメディアのウィーチャット(微信)などで知られるテンセントです。どちらも指数の組み入れ比率が高く比較的影響力が大きい銘柄ですが、ここ1年で株価が約2倍に上昇しました」。

 中国以外でも、情報技術関連銘柄の値動きはよかったという。アジア新興国の業種別指数(価格指数、米ドルベース)では、情報技術が11カ月間で39.2%上昇していて、これは不動産の51.7%に次ぐ値だ。

 「韓国のサムスン電子や台湾のTSMC(台湾セミコンダクター)といった半導体関連の企業も好調でした。ただし、サムスン電子に関しては、スマホの売り上げが鈍っていていることなどから直近は下げています」

 また、中国については他にも値動きに影響を与える要因がさまざまあったと古賀シニアファンドマネジャーは語る。「たとえば、都市機能の北京一極集中を改善するために、河北省に副都心・雄安新区を作るプロジェクトが発表され、一時的にインフラ開発関連銘柄が上昇しました。これは短期的な動きでしたが、開発自体はこれからなので今後も折に触れ注目されるでしょう。さらに、大手不動産企業の信用格付けの引き上げがきっかけで不動産関連銘柄が大幅に上昇したり、政府が新エネルギー車の普及を目指す方針を発表してBYD(比亜迪)など電気自動車関連が上がったりと、中国関連の話題は多かったですね」。

●基準価額の推移

基準価額 アジア新興国の国別指数(価格指数、米ドルベース)にも、中国の好調がはっきりと表れている。この11カ月間の上昇率は、中国が+41.8%と飛び抜けて高く、次いでタイの+22.8%、インドネシアの+18.1%となった。指数自体の11カ月間の上昇率は+26.4%だった。

 「タイは、昨年11月にプミポン前国王の喪が明けて、今後は観光業などで景気回復が加速することが期待されています。インドネシアは、5月に大手格付会社のS&Pがインドネシア国債の格付けをBBB-に引き上げたことが大きなプラス要因となりました。

 また、この期間の上昇率は+13.3%ですが、インドについては今後も期待ができると考えています。アジアの中では経済成長率が高く、国民からの信頼が厚いモディ首相が税制改革や国営銀行の健全化などさまざまな施策を進めていて、成果も出ているためです」

 マイナス要因はなかったのだろうか。古賀シニアファンドマネジャーが挙げたのは北朝鮮の動きだ。「11カ月間の間には、北朝鮮情勢が一段と緊迫したり、弾道ミサイルを発射したりといったことがありました。平昌オリンピックでは融和ムードもありましたが、今後については不透明です。北朝鮮の経済規模自体は小さいですが、グローバリゼーションが進む中で、アジア新興国に対してどんな影響があるのか、これからも気を付けておく必要があると考えます」。

■成長期待の高いアジア新興国の約550銘柄に1本で分散投資できる

 さて、すでに述べたとおり、「SMTアジア新興国株式インデックス・オープン」は、アジア新興国の株価指数「MSCIエマージング・マーケット・アジア・インデックス(円換算ベース)」に連動する投資成果を目指すインデックスファンドだ。新興国全体と比べて、さらに成長期待の高いアジア地域の新興国の幅広い業種・銘柄に、1本で分散投資できることが最大の魅力となっている。もちろん、インデックスファンドのため、アクティブ運用のファンドより相対的にコストが低い点もこのファンドの魅力と言えるだろう。

 「ベンチマーク採用銘柄は2018年2月末時点で572銘柄で、基本的にはファンドもベンチマークと同じ銘柄に投資しています。ただし、ウェイトが極端に小さな銘柄や取引コストが割高な銘柄もあるため、そうした一部の銘柄は除いた上で指数との連動性を保つよう調整しています。ファンド自体の組み入れ銘柄数は、米国株式場に上場している米ドル建ての中国株(預託証券(DR))も含んで約550銘柄です」

 現在、「MSCIエマージング・マーケット・アジア・インデックス」を構成しているのは、中国、韓国、台湾、インド、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、そしてパキスタンの9カ国。パキスタンに関しては、昨年5月に新たに指数に追加された。

●指数の国別構成比
国別構成比「パキスタンのウェイトは0.1%前後で、指数に採用されたことで全体に与える影響はごく小さいものです。また、ファンドに関して言えば、パキスタンへの投資は手続き中で現時点ではまだスタートしていませんが、ウェイトが小さいこともあり、指数との連動性を保つための調整はしているため特段の影響はありません」

 そして、パキスタンの指数採用より注目されているのが、かねてから言われてきた中国A株の指数への採用だ。昨年5月に正式決定され、2018年5月末と8月末の2段階に分けて指数に採用されるという。「組み入れられる銘柄は約220銘柄です。今回インデックス採用されるのは、A株の中でも上海市場と香港市場で相互取引されている銘柄で、インデックスでのウェイトは1%弱に過ぎません。それでも、投資対象が広がって分散効果が高まることは、投資家にとって歓迎すべきことと言ってよいでしょう」。

 気になるのは2018年3月以降だが、古賀シニアファンドマネジャーは今後も堅調な動きが続くと予想している。「指数に組み入れられているアジア各国が、いずれもそれほど大きな懸念材料を抱えていないというのが一つの理由です。特に中国は、経済にしても政治にしても、安定が続くだろうと見ています」。

 中国というと、最近は経済の減速基調が言われているが、「減速とは言っても、6.5%という経済成長率は世界の中では高く、中国経済が世界に及ぼす影響も依然大きいものです。また全体的には減速していても、情報技術関連などの成長分野に投資していけば十分利益は狙えると考えます」。

 また、予想PERの面から見ても、引き続きアジア新興国には期待ができるという。「MSCIエマージング・マーケット・アジア・インデックスはこの1年で約2割ほど上昇していますが、実はその分企業収益も伸びています。そのため、予想PERは1年前とさほど変わらない水準で割高感はありません。そこは、すでに割高との見方が強まっている米国株とは異なるところです」。

 ただし、留意すべき点もあると、古賀シニアファンドマネジャーは指摘する。「米国の保護主義的な動きと長期金利の動向です。実際に保護主義的な政策が進めば、貿易依存度の高いアジア新興国が受ける影響は大きいでしょう。ハイテク銘柄に限った話ではなく、たとえばアパレルなどでは東南アジアの国々にも影響が出てきます。さらに、中国が報復措置に出る可能性もあり、懸念材料と言えます」。

 米国の長期金利については、中国当局も非常に注視しているという。2017年12月のFRB(連邦準備制度理事会)が利上げした際には、中国人民銀行もすぐにそれに追随したが、古賀シニアファンドマネジャーによると、過去には例がないほどのスピード対応だったとのこと。

 「金利差が開くと、為替などに投機的な動きが出る可能性があり、それを抑えようということでしょう。今後、FRBが再び利上げした場合に、中国人民銀行がどのような対応をするのかは興味深いですね。いずれにしろ、米国が量的緩和を巻き戻していく間にはアジア新興国にも何らかの影響が出る可能性はあるので、気を付けておくべきだとは考えています」

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