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【アセットマネジメントOne】「AR国内バリュー株式ファンド」を解説

 アセットマネジメントOneの「AR国内バリュー株式ファンド(愛称:サムライバリュー)」は、有望な中小型バリュー株式への現物投資と指数先物取引を組み合わせることで、相場環境に関わらず「絶対収益」を追求するというファンドだ。

 同ファンドの直近1年間の運用状況と今後の見通し、さらに「絶対収益」の獲得を可能にする運用の仕組みについて、安西慎吾・アセットマネジメントOne 運用本部株式運用グループ国内株式担当ファンドマネジャーに聞いた。

■全体相場が好調の中、ファンドは+9.75%のリターンを獲得

 サムライバリューの運用状況の前に、まずは2016年8月~今年7月末までの1年間の株式市場の動きを振り返ってもらった。安西ファンドマネジャーによると、この1年間は3つの局面に分けられるという。

「1つめは8月~10月までで、この期間は6月末に起きた英国のブレグジットによる信用リスクが徐々に後退して、市場全体が上昇に向かう局面でした。米国の利上げ期待が後退する場面では若干調整も挟みましたが、雇用統計をはじめとする米国の経済指標が改善基調にある点もプラスに働きました」(安西慎吾ファンドマネジャー、以下カギカッコ同)

 2つ目の局面は、米国大統領選でトランプ氏が勝利した11月~12月末まで。トランプ新大統領の政策期待が高まり、市場は急上昇。日本国内に関しては11月8日のみリスク回避的な動きから下落したが、すぐに円安を伴って急反発した。「この局面では、世界的な金利上昇によって、特にメガバンクや大手生保といった金融関連株の上昇が顕著となりました」。

 そして3つ目の局面は、今年1月~7月末までという若干長めの期間となった。「米国の政権運営に対する不透明感や北朝鮮の弾道ミサイル発射などが短期的なリスクとなる場面もありましたが、全体としては世界景気の回復期待が続いていて、緩やかな上昇局面だったと言えるでしょう。また、日本国内では企業業績の改善期待が好材料となりました」。

 外部環境が概ね順調な中で、日本株全体は好調に推移。TOPIX(配当込み)は、1年間で25.05%の上昇となった。

「また、サムライバリューの主要な投資対象である中小型バリュー株も好調で、中小型バリュー株の指標のラッセル野村ミッド・スモール・バリュー・インデックス(配当込み)は+32.77%と、TOPIXを上回って推移しました」

 続いて、中小型バリュー株式を「規模」と「スタイル」に分けて、サムライバリューの運用環境についてより詳しく説明してもらった。

「中小型バリュー株式を『規模』の面から見ると、大型株(TOPIX100構成銘柄)が+21.58%、小型株(TOPIXスモール)が+29.31%で、小型株が優位でした。また『スタイル』面では、グロース(ラッセル野村トータル・グロース・インデックス)が+19.58%、バリュー(同バリュー・インデックス)は+26.14%でした。つまり、中小型バリュー株式を投資対象とする当ファンドにとっては規模の面でもスタイルの面でもフォローであり、銘柄選択効果が発揮しやすい良好な環境だったと言えます」

 実際、企業リサーチの効果は十分に発揮できたと安西ファンドマネジャーは語る。この結果、サムライバリューの現物株式への投資部分(MHAM国内中小型バリュー株式マザーファンド)は1年間で40.04%の上昇となり、参考指標であるラッセル野村ミッド・スモール・バリュー・インデックスの+32.77%を、7.28%超過することができたという。

●基準価額と純資産総額の推移

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 もちろん、後述するとおり、同ファンドは現物株に投資だけでなく指数先物取引の売建も行なっているため、現物株式の値上がり益がすべて収益となるわけではない。指数先物取引によって株式実質組入比率をコントロールした後の、ファンドとしてのパフォーマンスは+9.75%。2017年7月末時点の基準価額は1万4736円となった。  

 ■「カタリスト」のある、有望な中小型バリュー株を厳選

 さてここからは、サムライバリューの運用プロセスを見ていきたい。まず現物株投資の部分だが、投資対象となる中小型株のうち、財務基盤がぜい弱な銘柄を排除。その後、アナリストが実際に企業を訪問し、業績動向や事業内容に関するインタビューをもとに銘柄を選定していく。

「このボトムアップアプローチによって、将来的に割安な状態が解消される可能性の高い銘柄を厳選します。その際に重視するのが、株価上昇やバリュエーション訂正につながるきっかけ――『カタリスト』の存在です。なぜなら、中小型株は大型株に比べて証券アナリストのカバレッジが少なく、株価に業績改善などファンダメンタルズの情報が十分に織り込まれていない可能性が高いからです。そのため、カタリストが具現化した場合の株価上昇も、大型株以上に大きくなると考えています」

 カタリストには、マクロ的なものとミクロ的なものがあり、前者としては金融政策や成長戦略などの政策の変化、技術革新、消費構造の変化といったことが挙げられる。「またミクロ的なものでは、資本効率の向上や収益の拡大、採算性の改善を目指しているかといった点に注目していて、これらについては企業訪問時に必ず確認します」。

 ●株式組入上位10銘柄と組入比率

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 たとえば、2017年7月末現在の現物株式の組入上位のうち、ケイアイスター不動産のカタリストは次のようなことだという。

「北関東エリアを中心に、一次取得者向けの分譲戸建てを展開している企業ですが、新たな販路開拓と販売エリアの拡大が業績のけん引役として期待できること、新築マンションの販売価格高止まりで分譲住宅に相対的な割安感が出てきていることなどがカタリストです。また、現状は住宅ローン金利が非常に低水準であることも追い風になっていると考えています」

■指数先物の売建により、株式の組入比率を機動的にコントロール

 続いて、このファンドの最大の特徴とも言える「絶対収益」の獲得を可能にする仕組みについて確認しておこう。

 サムライバリューでは、現物株式に投資すると同時にTOPIX先物などの株価指数の先物を売り建てている。現物株の買い+指数先物の売建による株式の実質組入比率は、市場の動向に合わせて0~20%の範囲で機動的にコントロールする。

「具体的な組入比率は、マクロ環境や市場環境などの投資環境分析と、TOPIXの移動平均を使用したトレンド分析から決定しています。指数先物の売建を組み合わせることによって、中小型バリュー株のパフォーマンスが市場全体(TOPIX)を上回った分の収益を獲得することが可能です」

 株式市場の下落局面では、組入比率を下げることで市場全体の価格変動リスクを低減し、一方、上昇局面では組入比率を高めることによってリターンの極大化を目指す。

では、直近1年での組入比率はどのように推移したのだろうか。

 

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